太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー電源を主体とした電力ネットワークの構築を目指した研究を行っています。太陽光発電や風力発電の発電電力は天候とともに変化します。そのため,再生可能エネルギーを大量に導入すると,電力ネットワークの電圧や周波数が変動するため,高品質の電気エネルギーが欠かせない社会生活に悪影響を及ぼす可能性があります。このような問題を解決し,将来に向けて再生可能エネルギーの導入量を増やすためには,これまでにない新しい技術を電力ネットワークに適用する必要があります。そこで,供給電力の品質を改善するために新しく必要となる設備計画や電力機器の研究,既存の電力機器を活かした新しい制御手法の研究に取り組んでいます。
太陽光発電が大量に導入された電力ネットワークにおける電圧制御手法について研究しています。カーボンニュートラル社会の実現のために,太陽光発電の導入量が増加しておりますが,電力ネットワーク内の電圧変動が大きくなることが懸念されています。そこで,電圧を適正範囲に維持するための制御手法について研究しています。電力ネットワーク内の電圧を計算機シミュレーションで評価するためには,ネットワーク全体を適切にモデル化し,潮流計算により電力ネットワーク内の各種電気量を計算する必要があります。この技術に基づいて,配電線の電圧制御機器を集中制御するためのモデル予測制御に関する研究,直列コンデンサによる太陽光発電導入可能量の拡大,などの研究に取り組んでいます。
AI技術を活用して,配電系統内の電力需要の予測について研究しています。配電系統高度化に資する検討の一例として配電系統内の電力需要の予測が考えられます。精度よく電力需要を予測できれば,配電系統の電圧集中制御への応用やデマンドレスポンスへの適用が可能となります。また近年,配電線にセンサ内蔵開閉器が,低圧需要家にはスマートメータが設置され,さまざまな時系列データを入手することが可能となっています。これらのデータを活用して,リカレントニューラルネットワークの一種で時系列データの特徴を効率よく学習することができるLSTM(Long Short-Term Memory)にスマートメータにより得られる30分使用量測定データを適用することを考え,精度良く電力需要を予測する方法について研究しています。
マイクログリッド実験設備を実験室内に構築し,マイクログリッド内の電圧制御および保護制御について研究しています。災害などにより大規模な停電が発生した場合,地域マイクログリッドでは太陽光発電などの再生可能エネルギー電源や蓄電池を活用し,地域マイクログリッド内の負荷に電力を供給することができます。地域マイクログリッドを安定に運用するためには,グリッド内の電圧を適正範囲に制御し,マイクログリッド内で発生する短絡・地絡事故から設備を保護する必要があります。実験設備を用いてVolt-Var制御やVSG制御を適用したインバータの導入効果について検証したり,事故発生時のインバータの挙動について検証したりすることで,新しい電圧制御手法や保護制御手法について研究しています。
供給電力の品質維持とコスト低減の両立を実現する送配電システムの設備計画の方法について研究しています。従来は,需要家の契約情報と不等時性などを考慮して需要家が使う電力を想定し,十分な品質で電力を供給できる設備を設計しておりました。近年はスマートメータが各家庭に設置されており,より正確に需要家の電力を想定できるようになりました。また,需要家に設置される装置も太陽光発電,蓄電池,電気自動車(EV)など従来とは異なるものが普及しており,必要となる送配電システムのあり方も変化すると思われます。そこで,供給する電力の品質を維持し,コストも低減できるような新しい送配電システムの設備計画について研究しています。
太陽光発電の連系量が急激に増加した送配電システムにおいて,従来経験されることのなかった現象が観測されています。例えば,一般的には配電システムにおいて逆潮流時には電圧は上昇すると考えられていましたが,大規模な逆潮流時には配電線電圧が低下したり,電圧不平衡の拡大が観測されたりしています。また,太陽光発電用PCSの単独運転機能による無効電力注入により,電圧フリッカの発生も観測されました。これらの現象により,送配電システムの設備計画は複雑さを増しています。そこで,太陽光発電などの再生可能エネルギーが大量導入された場合に発生しうる異常現象を物理的に解明し,解決する方法について研究しています。
太陽光発電などの再生可能エネルギー電源が大量導入された送配電システムの電圧と周波数を制御するために,スマートインバータ(SI : Smart Inverter)の制御方法に関して研究しています。スマートインバータには,電圧や周波数に応じて,有効電力や無効電力を制御する機能や,異常時にも運転を継続する機能(FRT : Fault Ride Through)など,送配電システムの安定性向上に寄与する機能が備わっていますが,設定パラメータが多いため,設置箇所ごとに設定値を変えるべきなのか,そもそも何が最適であるのか,わかっていない点も多数あります。そこで,送配電システムに導入するスマートインバータの役割を考え,送電システム・配電システムそれぞれに適したスマートインバータの設定方法について研究しています。
飯岡 大輔(IIOKA Daisuke)
〒487-8501 愛知県春日井市松本町1200番地
中部大学 工学部 電気電子システム工学科
E-mail: iioka【@】fsc.chubu.ac.jp
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